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発達障害診断後、コミュニケーションに不安を感じるようになった人へ【理由と対策】

  • 発達障害だとわかってから自分のコミュニケーションにおかしいところはないか気にするようになった

自分が発達障害だと判明したほとんどの人がこのような経験をしたのではないでしょうか?

 

元々自分のコミュニケーション能力に自信があったわけではないものの、発達障害だとわかってからは「さっきの発言ちゃんと伝わっただろうか」「相手の反応よくなかったな…何か気に障ること言ってしまったかも」というように、自分のコミュニケーションについて不安に思ったり、心配を抱えたりする頻度が増えたのではないでしょうか。

 

診断後に自分のコミュニケーションについて上手くやれているか不安に思う気持ちもわかります。実際、私がそうでした。

 

そこで今回は、

  • 発達障害だと診断されてから、自分のコミュニケーションを気にしすぎるようになった

という人に向けて、その理由と対策をお送りしたいと思います。

 

記事の内容
  • ・診断後にコミュニケーションを気にするようになる理由

    ・対策

 

今回紹介する対策を使えば、コミュニケーションで気にしすぎて心身を消耗することもなくなります。

発達障害診断後、会話のたびに「相手を傷つけてしまうかも」と不安になる人、あるいはこの話に興味のある方は続きをご覧ください。

 

「目次」クリックで開閉します

診断後にコミュニケーションを気にするようになる理由

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自動思考による思い込み

 

発達障害の診断後に自分のコミュニケーションについて気にするようになった人は自動思考に陥っている可能性があります。

  • 自動思考とは、何か考えたときにそのことについて自動的に頭に浮かんでくる考えのことで、この思考をしてしまう人は何らかの感情に支配されています。

 

人は何らかの感情に支配されていると、決めつけ的な思考をしてしまうものです。

発達障害者によく見られる白黒思考も、このような思考の一例です。

  • 例えば、小さなことでもすぐに不安に思ってしまう、すなわち「不安」「心配」といった感情に振り回されやすい人がいたとします。

このような人の場合、他の人なら気にしないようなことでも不安感を増大させてしまう傾向があります。

 

職場で挨拶をして返してもらえなかったり、友人からLINEの返事が来なかったら「嫌われてしまったのかも」「何か悪いことを言ったのかも」と不安になり、その不安を心の中で大きくしていき、しまいには「相手に嫌われた」「自分が悪いんだ」という結論に至ります。

 

他の人であれば、「挨拶を返してもらえなかったけどきっと聴こえてなかったんだろう」「忙しくてLINEに返事する余裕ないのかも」と考えることができるのですが、「不安」「心配」といった感情に支配されている人はそのようには考えることができず、自分のコミュニケーションに何か問題があったから相手に嫌われたと思い込んでしまいます。

 

  • 不安や心配しがちな人=自動思考によって、ある事実に対して不安や心配を増大させてしまう

  • (例)友人からのLINEの返事が来ない(事実)

     

    ・自動思考をする人=「不安」「心配」などの感情に支配され、「嫌われた」「自分が悪い」と決めつける

     

    ・自動思考をしない人=不安や心配といった感情には支配されないので「嫌われた」「自分が悪い」とは思わない、もしくは気にしすぎない

 

このように、自動思考をしてしまう人は何らかの事実や事柄に対して自分の感情に支配された上で自分なりの解釈を導き出します。

 

他の人から見れば、間違っていたり歪んでいる解釈だったりするのですが、本人は自分の解釈・思考を信じ切っています。

 

証拠集めで思い込みを強くしてしまう

 

  • 自分の思考を信じ切ってしまうだけではなく、自動思考の人の場合、自分が出した解釈・思考に合うような証拠集めをしてしまいます。

 

「嫌われた」「自分が悪い」という解釈を信じている人であれば、誰かに冷たい態度を取られたり自分が失敗したことばかり思い出してみたり、相手のちょっとした仕草を見てネットを使って「嫌われているサイン」ではないかと検索したりします。

 

発達障害を診断された後、自分のコミュニケーションのことを気にするようになった人も同じく、証拠集めをしていると言えます。

  • すでにご存知かもしれませんが、発達障害者には「対人関係でつまづきやすい」「空気を読むのが苦手」などコミュニケーション力が苦手、といった特性があります。

発達障害の診断をされたことで、この特性を「自分はコミュニケーションに問題がある」「嫌われる」「自分が悪い」といった思考の証拠として使ってしまうのです。


発達障害を診断してもらおうと考える人は大抵、対人関係でつまづいた経験があります。

ただでさえ、他人とのやりとりで失敗し、自信をなくしたり不安になりやすく、自分のコミュニケーションに問題があるのかも、という思考になりやすい人が発達障害の診断を受けたことで、さらに「自分のコミュニケーションに問題がある」といった思考をさらに強めてしまうわけです。

 

ポイント
  • 自動思考の人

    発達障害の診断を、「自分のコミュニケーション力に問題がある」という思考の証拠として使ってしまう

 

対策

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フレーミング法で考え方を変えよう

 

ここまで述べてきたように、自分のコミュニケーションを気にしすぎる人は自分が作り出した思い込みに支配されています。そこで対策としてはこの思い込みをどうにかする方法を考えなければなりません。

 

今回は、リフレーミング法というものを紹介します。

  • フレーミング法とは自分の置かれた状況に対して見方を変える、といった方法を使い、不安や心配を和らげるものです。

自分のコミュニケーションに問題があるのではないかと気にしてしまう人は「自分が何か悪いことを言って相手を不快にさせるかも」というように「自分が悪い」といった思考をしがちですが、これはあくまでも憶測に過ぎません。

 

「自分が悪い」「相手に嫌われるかも」といった見方を変える、というものがリフレーミング法です。

具体的には、「嫌われたような気がするけど気のせいだ。自分に落ち度はないはず」もしくは「嫌われたかもしれないけどかまわない」といったように見方を変えます。 

 

前者の「嫌われたような気がするけど気のせいだ。自分に落ち度はないはず」といった考えは、「自分が悪い」という見方を「自分は悪くない」に変えています。

後者の「嫌われたかもしれないけどかまわない」は、「誰かに嫌われたら終わりだ。やっていけない」という見方を「かまわない(=誰かに嫌われても生きていける)」に変えています。

 

他にも、見方を変える例としては、人から嫌われたのを人生の勉強/修行の一環だと考えるのもいいかもしれません。

 

ポイント

 

考え方の幅を広げよう

 

とは言え、普段から「自分が悪い」「嫌われる」といった悲観的な考えに陥りやすい人にとっては、さあ考え方を変えましょうと言われてもピンと来なくて、どうしても悪いほうへ考えてしまうことでしょう。

 

対策としてはこうした考え方を少しずつ矯正していく方法が有効です。どのようにして矯正するのかというと、解釈のレパートリーを増やすのです。

 

解釈のレパートリーを増やす手段としては

  • ・自分とは違う考えの人と交流する

    ・普段読まないようなジャンルの本を読む

    ・自分とは反対側の意見を聞く

というものがあります。

 

これらには「自分とは違う意見に触れることができる」という共通点があります。自分と違う意見に触れることで「こんな考え方もあるのか」と新たな発見になり、自分の解釈やものの見方、価値観を広げることに繋がります。

 

自分のコミュニケーションに自信がない人は他人の一挙手一投足を悪いほうへ考えがちですが、いろんな人の考え方を知ってものの見方を広げることができれば悪いほうへ考えることもなくなります。

何か気になることがあっても「気のせいだ」「たまたまだ」「一時的なものだ」「自分が悪いわけではない」「大丈夫」「問題ない」と、前向きな思考ができるようになります。

 

ポイント
  • 自分と違う意見に触れて、ものの見方や解釈のレパートリーを増やそう

 

まとめ

発達障害の診断を受けた後、自分のコミュニケーションを気にするようになってしまった…という人に向けて今回記事をお送りしました。

 

簡単にまとめると以下の通りになります。

 

【原因】

  • 自動思考によって「自分のコミュニケーションに問題がある」といった思い込みをして、さらに発達障害の診断をその思い込みの証拠として使ってしまうから

 

【対策】

  • ・リフレーミング法でものの見方や考え方を前向きに変える

    ・自分と違う意見に触れてものの見方や考え方の幅を広げる

 

個人的な意見としては、気にせず傍若無人な振る舞いをして他人に迷惑をかける人より、自分の振る舞いに悪い部分はないか考慮する人のほうが良い人間関係を築けると思います。

 

そうは言っても、気にしすぎてしまうと、自分の精神に負担がかかってしまうのも事実です。今回の記事で紹介したリフレーミング法などを使って、程よい加減で自分のコミュニケーションを考えられるようになっていただけたら幸いです。

 

この記事は以下の情報を参考にして執筆しました。
『感情をコントロールする力』
『あなたの職場のイヤな奴』
『禅から学ぶこころの引き算』