仕事と家事の両立で日々消耗している発達障害者の人に知っておいてほしいこと2つ
突然ですが、皆さん毎日家事は十分にこなせているでしょうか?
働いている人、特に会社勤めの人の場合、毎日仕事でヘトヘトになってしまい、
- ・家事が十分にできていない
・なんとか家事をこなせているが、いっぱいいっぱいで日々乗り切っている
という状態ではないでしょうか。
今回の記事ではこのように
仕事と家事に追われて日々消耗してる!
という人に向けた記事となります。
私も多忙で残業続きだった月は家に帰り着く頃には疲れ切ってしまい、家事をする気力がなくなっていましたね…。
今回の記事では以下の人向けに仕事と家事についてお送りしていこうと思います。
以上にあてはまる人はぜひこの先を読み進めてください。
毎日、仕事と家事に追われて、てんてこ舞い!そんなあなたに知っておいてほしいのは以下の2つです。
- 【その1】家事は必要最低限レベルで。
【その2】視点をずらそう
「目次」クリックで開閉します
【その1】家事は必要最低限レベルで。
発達障害の人の場合、家事については完璧を目指すのではなく、ある程度手を抜いたほうがいいです。むしろ、「必要最低限のラインをこなせていれば十分だ」と考えたほうがいいでしょう。
理由は、
- 必要最低限のラインでなければ継続不可能になるから
です。以下、詳細を説明します。
家事=必要最低限でもいい理由
発達障害者の場合、家事は必要最低限に留めておいたほうがいいです。理由は次の2つです。
- 必要最低限でなければやりたいことができなくなるから
- 努力ではカバーできない、特性上できないことがあるから
必要最低限でなければやりたいことができなくなるから
発達障害者の場合、やりたいことができなくなるとあらゆる面で悪影響が出てしまいます。
先にポイントだけ紹介しますね。
- やりたいことができないとストレスが溜まる
- ストレスが溜まるとあらゆる面で悪影響が発生する
やりたいことができないとストレスが溜まる
人間は自分のやりたいことができなければ納得できずに不満を感じてしまいます。ましてや、発達障害の人の場合はやりたいことへの情熱がおさえきれない傾向があります。
発達障害の人でも、ある程度はやりたいことを我慢してやるべきことに取り組みます。しかし、やるべきことが我慢できないくらいのものになってしまう、つまり限界ラインを超えてしまうと、強いストレスを感じるようになります。
もしも、家事が「必要最低限のライン」でなければ、「やるべきこと」に追われる頻度が高くなってしまい、自分の「やりたいこと」ができなくなってしまいます。
そうなってしまうと、やりたいことができない不満から発達障害持ちは強いストレスを感じてしまうのです。
- 家事が必要最低限じゃない場合:やりたいことができなくなる
→不満を感じて強いストレスになってしまう
ストレスが溜まるとあらゆる面で悪影響が発生する
発達障害の人は、やりたいことができずにストレスが溜まると、そのストレスを発散させるために、家事や身の回りのことをする時間や睡眠時間を減らします。そうして作り出した時間を使ってやりたいことを実行するのです。
その結果、身だしなみがおろそかになったり、睡眠不足で体調不良になり、集中力や注意力、気持ちの余裕がなくなり、仕事で十分な力が発揮できなくなってしまうといった悪影響が生じてしまいます。
-
やりたいことができずにストレスが溜まる
↓
ストレス発散のため、他を無視して、やりたいことを優先
↓身だしなみ/睡眠/仕事/体調 などに悪影響
家事を必要最低限にしなければストレスが生じるばかりか、体調や仕事に悪影響が出てしまいます。このような理由のため、家事は「必要最低限」が望ましいのです。
努力ではカバーできない、特性上できないことがあるから
でも他の人ができているのに
自分ができていないのって、
なんだか情けなく感じる…
もしかしたらこのように思ってしまう人もいるかもしれません。
ですが、たとえ世間の水準に比べてあなたの家事が不十分だったとしても罪悪感や劣等感を覚える必要はありません。
なぜなら発達障害の場合、
- 障害の特性上、トラブルが発生しやすく、努力だけでは改善できない
からです。
- 障害の特性上、トラブルが発生しやすい
- 努力だけでは改善できないこともある
これらについて以下深堀りしていきます。
障害の特性上、トラブルが発生しやすい
発達障害者でなくても、日常生活でちょっとしたミスやうっかりで家事を失敗してしまうことがあります。
しかし、発達障害者の場合、それ以外の人に比べて失敗の頻度が多いのです。
おそらく頻度が多いことをあまりよく知らないのか、発達障害でない人から「そのくらい誰にだってあることだよ」と言われてしまうことも。
-
・一つのことに意識は向いてしまうと他のことが見えなくなり停滞してしまう
・感情が高ぶりがちで興奮状態の時が多い
という特性が発達障害者にはあるので、それ以外の人に比べてトラブルが発生しやすくなり、家事をすると消耗してしまうのです。
努力だけでは改善できないこともある
特性でトラブルが発生しやすいといっても、
単に努力が足りないからでは?
注意すればミスも減らせるはず。
発達障害者の皆さんはこのように言われた経験はありませんか?
私の場合、(おそらく)障害の特性が原因で電話応対がうまくできず失敗ばかりで、上司から「集中すればできるでしょ。やる気が無いんじゃないの?」と言われたことがありました(汗)
残念ですが、発達障害でない人の中には「できないのは甘え」「根性が足りない」と考える方もいるようです。
しかし、発達障害者の場合、できないのは脳に原因があり、本人の意思でどうにかなるようなものでもありません。ある程度は工夫でカバーすることもできるでしょうが、限界があります。
むしろ、努力でミスやできないことをカバーしようとすると発達障害者の場合、別の問題が出てくるのです。
発達障害者の過剰反応
発達障害者の中には本当はできないことなのに無理に努力して周囲に適応しようとする人がいます。
-
『発達障害 生きづらさを抱える少数派の「種族」たち』において著者の本田秀夫氏は、このような人について
発達の特性がある人の「過剰反応」と呼んでいます。
と述べています。
過剰反応をしてしまうと発達障害者はどうなるのでしょうか。
一見すると何も問題なく、発達障害者でない人と同じように振る舞っている、中にはうまくいっているようにも見えます。
しかし実際には相当我慢していたり無理をしているので段々限界が来て、最終的には燃え尽きてしまいます。その結果、勉強や仕事など「やるべきこと」が手につかなくなってしまいます、
このように、発達障害者ができないことを努力でなんとかしようとすると過剰反応となり、燃え尽きてしまうという結果に繋がります。
したがって、発達障害者の場合は家事については無理しない範囲、すなわち最低ラインができていればそれでいいのです。一定の水準をこなそう、とは考えないほうがいいでしょう。そして必要最低限のラインを認識した上でどうやったら維持できるか、できるだけ楽に快適に暮らすための方法はないかを考えることが必要です。
-
発達障害者は特性上、家事でトラブルが発生しやすい
無理に努力すれば過剰反応で燃え尽きてしまう
→だから家事も無理する必要のない最低基準が適している
【その2】視点をずらそう
障害が原因とは言っても、仕事と家事をうまく両立できないことで罪悪感を抱いてしまう人もいるかもしれませんね。
そういう人にオススメの方法として、
- 視点をずらす
というものがあります。
「できていること」に目を向けよう
-
罪悪感を持ってしまう人は足りてない部分に目を向けてしまいがちです。
例えば、段取りが悪く要領よく動くのが苦手、という人の場合はおかず一つ作るのにレシピ本の倍以上時間がかかってしまう…なんてことがあります。
罪悪感を持ってしまう人だと「どうして料理が時間どおりに作れないんだろう。要領よくできない自分が悪いんだ」というように自分を責めてしまいます。
このケースの場合、「段取りが悪い」「要領よく動けない」「時間がかかってしまう」といった「足りてない」部分にばかり目を向けてしまっています。
時間はかかったかもしれませんが、味はすごく美味しかったかもしれません。
ですが、罪悪感を抱いてしまう人は自分の足りていない部分のことばかり考えてしまうのです。
このように自分の足りていない部分に目を向けて罪悪感を抱いてしまう人はできていないことよりもできていることに目を向けるべきです。
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「時間がかかってしまった」ではなく「ちゃんと自炊できた」というように。
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「できていない」部分よりも「できている」部分に目を向けよう
「幸せだから頑張れる」と考えよう
仕事と家事に追われて消耗している、と考えるのではなく「働くことができるという幸せが自分にはある。だから頑張れる」と考えます。家事についても同じように「自分には家事ができる幸せがある。だから頑張れる」と考えます。
そうすると他人に感謝する気持ちが生まれてきます。
仕事でいえば、雇ってくれている会社や仕事仲間などに対する感謝が生じます。
家事でいえば、例えば買い物でいつも利用している店の店員さんに感謝の気持ちが生じるかもしれません。
店員さんが頑張ってくれているから買い物できる、家事に必要なものが手に入るんだ、というように。
そもそも、普段私たちは意識してないところでもいろんな人のおかげで生活することができています。いろんな人のおかげで仕事も家事もできているのです。
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例えば仕事でも家事でも使っている電気。普段意識しないかもしれませんが、この電気だって電力会社の人たちのおかげで使うことができています。
誰かが頑張ってくれているおかげで「仕事ができる幸せ」「家事ができる幸せ」を享受できている、と考えてみてはいかがでしょうか?
そしてこのような幸せに恵まれているから自分は頑張ることができているんだと考えるのです。すると自分に幸せを与えてくれる他人に感謝の気持ちが芽生え、前向きな気持ちで日々を過ごせるようになっていきます。
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「自分が普段仕事も家事も頑張ることができるのは幸せだから」「この幸せは他の誰かのおかげ。」
と考えてみよう。
まとめ:家事は必要最低限レベルで視点を変えよう
以上、発達障害者の人における「仕事と家事の両立」について、
-
・発達障害者は、やりたいことが我慢するとストレス発生/特性上できないことを無理してもストレス
→だから家事は必要最低限にしよう!・視点を変えて、「できているところ」/「誰かのおかげで幸せ。だから頑張れる」ことを認めよう
という内容をお伝えしました。
私の知っている限りですが、発達障害者の方は真面目かつ完璧主義な人、努力家が多いような気がします。
性格なのか障害ゆえの性質なのか、それはわかりません。ただ、こうした性質を持っていると仕事も家事もどちらもちゃんとやらなきゃ!と苦しんでいるのではないか?と思い今回の記事を書きました。
多忙な中、仕事も家事も頑張っている人にこの記事が少しでもお役に立ったなら幸いです。
この記事は以下の情報を参考にして執筆しました。
『発達障害の人が上手に暮らすための本』
『発達障害 生きづらさを抱える少数派の「種族」たち』
『人生はブレていい』