コミュニケーションが苦手!相手の気持ちを読み取るための約束ごと紹介します【10個】
- 発達障害者さんは非言語コミュニケーションを知っておこう!
- 1.身の回りを的確に観察する
- 2.前後関係をよく把握する
- 3.普遍的な非言語コミュニケーションを見分けて解読する
- 4.特異な非言語コミュニケーションを見分けて解読する
- 5.相手の基準となる行動を把握する
- 6.複数のシグナルにいつも注意する
- 7.相手の行動の変化を探す
- 8.紛らわしい非言語コミュニケーションを見抜く
- 9.相手が快適なのか不快なのかを見分ける方法を知る
- 10.相手の観察はさり気なくする
- まとめ
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発達障害者さんは非言語コミュニケーションを知っておこう!
非言語コミュニケーションとは
皆さんは「非言語コミュニケーション」というものをご存知ですか?
非言語コミュニケーションとは話し言葉とは別の情報伝達手段のことで、次のようなものを使って意思疎通を図ります。
- 顔の表情
- 身振り
- 体の触れ方
- 体の動き
- 姿勢
- 身なり(髪型や服装など)
- 声のトーン
- 声の大きさ
非言語コミュニケーションは、別名「ボディーランゲージ」や「ノンバーバルコミュニケーション」と呼ばれたりもします。
実は発達障害の人はこの非言語コミュニケーションを読み取ることが苦手だったりします。
相手の感情を読み取るのが苦手なため、例えば、周囲が笑っている場合でもなぜ笑っているのかがよくわからなかったりします。
発達障害の場合、相手の表情や様子から感情を読み取ることができない人がいます。
その結果、残念なことに、本人に悪気がなくても他人の気持ち、感情を無視したふるまいをしているように周りから思われてしまいます。
かくいう私も、他人の表情や仕草から気持ちを読み取ることが本当に上手くありません。
例えば、人と食事をしているときに相手がしきりに時計を気にしながら「明日は仕事が朝早くからあってさー」と何度も言ってきたことがありました。
今思えば、相手の行動は「早く帰りたい」を表す仕草だったのかな、と思います。
しかし、その当時の「早く帰りたい」という相手の気持ちにまったく気がつかず、呑気に「大変ですねー」としか返しませんでした。
このように、表情や仕草から相手の気持ちを読み取って適切な反応や行動を起こすことが発達障害者にとっては難しいことなのです。
なお、非言語コミュニケーションは対人コミュニケーション全体のおよそ60~65%を占めていると言われます。
発達障害者にとっては苦手なことですが、だからこそ、表情や仕草といった非言語コミュニケーションについて知ることが大切です。
実際に、移民が多い国の学校では言葉が通じないことがあるため、非言語コミュニケーションで子どもたちは自分の気持ちを伝えることがあるようです。
非言語コミュニケーションを理解することで相手が何を感じているか、何をしようとしているのかが理解できます。
発達障害者の人は、少しでも周りと上手くコミュニケーションをとるためにも非言語コミュニケーションを身につけるようにしましょう!
非言語コミュニケーションを身につけるには
相手の表情や仕草、声の大きさといった非言語コミュニケーションから相手の思考や感情、意図を読み取るためには適切なトレーニングが必要です。
このトレーニングは、言葉以外で相手の心を読み取るための、いわば「お約束ごと」のようなものです。
非言語コミュニケーションを読み取る技術という「お約束ごと」を身につけることで、私たちは身の回りの世界を適切に解読することができるようになります。
非言語コミュニケーションを身につけるための約束事【10個あります】
非言語コミュニケーションを正しく使えるようになるには知識として知っているだけでは不十分です。
目標としては「意識しなくても非言語コミュニケーションを上手く使えるようになる」くらいが理想的です。
そのためには、非言語コミュニケーションについての「お約束ごと」を日常生活に取り入れ、日課の一つにすることです。
毎日繰り返すことで「お約束ごと」は習慣となって身についていき、非言語コミュニケーションの読み取りがほとんど無意識でできるようになります。
まずは10個、全て列挙していきます。
1.身の回りを的確に観察する
2.前後関係をよく把握する
3.普遍的な非言語コミュニケーションを見分けて解読する
4.特異な非言語コミュニケーションを見分けて解読する
5.相手の基準となる行動を把握する
6.複数のシグナルにいつも注意する
7.相手の行動の変化を探す
8.紛らわしい非言語コミュニケーションを見抜く
9.相手が快適なのか不快なのかを見分ける方法を知る
10.相手の観察はさり気なくする
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以下、順番に深堀りしていきます。
1.身の回りを的確に観察する
ボディーランゲージといった、非言語コミュニケーションを理解するには注意深く観察することが不可欠です。
注意深く観察しなければ周囲のわずかな変化を見過ごしてしまいます。
しかし、このわずかな変化をキャッチできるようになれば、観察眼を磨くことができ、対人関係での問題を避けることができます。
観察力が不十分だとどうなるのか。例を紹介しましょう。
- 「ツイッターでやり取りしていた人に突然フォローを外された!何もしてないのに!」と大騒ぎしてしまう方は観察が不十分で、相手のわずかな変化を見過ごしてしまっている可能性があります。
知人の話ですが、相手の迷惑行為に最初は我慢したりやんわりと注意していたものの、改善せず悪化したので不満が積もりに積もって我慢ならずフォローを切ったという人がいました。
注意をしたり、あえて事務的な、親しみづらい文章で返事を書くなど、それとなく「迷惑行為は控えてほしい」というシグナルを送っていたようですが、フォローを外された人には届いていなかったようです。
この件の根底には注意深く観察する力が欠けていた、そんな要因があるような気がしてなりません。
このように注意深く観察する力が欠けていると、相手の出すシグナル―感情や意図を伝える合図(信号)のようなもの―を見過ごしてしまい、(本人にとっては)わけもわからないままに突然の不幸に直面する、といった事態になってしまいます。
でも、大丈夫です。観察力の未熟さは克服できます。
「注意深い観察力」は学んで身につけることが可能な技術だからです。
相手の表情を読み取ることが苦手な発達障害さんでも正しいトレーニングと練習によって観察力を向上させることができます。
正しい方法を使えば、相手の感情、意図、思考や周囲で起きていることに関して正確に状況認識できる力が身につくのです。
注意深く観察するためには意識的/意図的に行動することが必須です。
受け身の姿勢では身の回りの世界のわずかな変化に気づくことができないからです。
意識的・ 意図的な行動とはいかなるものか。さらに詳しく言うと、
- 五感を全て総動員させて観察する
- 観察力習得のための努力、エネルギー、集中力、絶え間ない練習を欠かさないようにする
といったところです。
周りの状況や相手の感情を注意深く観察するためには自分から時間と労力をかけようとする意思が必要なのです。
2.前後関係をよく把握する
非言語コミュニケーションの意味をよりよく理解するためには前後関係をよく把握することが必要です。
前後関係を考えれば、行動を予測したり読み取ったりできるからです。
私の母の話を例にします。
- 入院していた祖母が息を引き取った後、諸々の処理のため、車で移動することになりました。 お見舞いのため何度か通っていたので慣れている道でした。それなのに不思議なことに母は道を間違え、ハンドルもうまく回せていませんでした。これは祖母の死によって母がショックを受けて冷静でいられなくなったのでしょう。
人間はショックを受けた結果として、震え・緊張・不快感を示す行動をとることがわかっています。
私の母の挙動を前後関係を踏まえて振り返ると、
<前>祖母の死によってショックを受けた
<後>ショックの結果、緊張して道を間違えた/上手く運転できなくなった
ということがわかります。
「人間はショックを受ければ緊張した行動をとる」など、前後関係を理解していれば、仕草や表情から他人の気持ちをつかむことができるようになります。
3.普遍的な非言語コミュニケーションを見分けて解読する
非言語コミュニケーションを読み取るためには、ほとんどの人に同じように見られる行動を把握しておくことが望ましいです。
ほとんどの人に同じように見られる行動、つまり、普遍的な非言語コミュニケーションを多く見分けることができれば、周囲の人々の考え、やろうとしていることを効果的に見極めることができるからです。
例えば、腕を組む仕草は大抵の場合、「相手を警戒している」心理の表れだと言われています。
このように普遍的な人に当てはまるような仕草や表情、それらが表している心理がわかっていれば、周りの人が何を考えているのか、どんなふうに感じているのか、これから何をやろうとしているのか、が読み取りやすくなります。
4.特異な非言語コミュニケーションを見分けて解読する
特異な非言語コミュニケーションとは、人によって異なることが多いシグナルを言います。
特異なシグナルを見分けるためには身の回りの人についてよく知ること、長く接することが必要です。
行動パターンを注意深く把握している相手ほどシグナルから感情や意図を判断するためのデータベースが大きくなるからです。ある個人について、「特定の条件の下である特定の仕草をする」ということが自分の中のデータとして保存されていれば、その仕草に応じた対応すら可能になります。
例えば、友人がいつもよる口数が減ったとき。あまり親しくない人にとっては機嫌が悪いように見えても、長年付き合いのある人から見たら単に眠いだけ、眠い時は口数が減る奴だから機嫌が悪いわけじゃない、と相手のことを理解できます。このように、付き合いが長く、よく知った相手ほど仕草などの非言語コミュニケーションから思考や感情を読み取ることができるようになります。
5.相手の基準となる行動を把握する
人によって異なる非言語コミュニケーションを理解するためには相手の基準となる行動を把握することが必要だと先ほど紹介しました。
そのためには相手が普段どのように振る舞っているのか、いわば基準となる行動を把握しなければなりません。
基準がわかっていれば、「いつもと違う状態」を容易に見分けることができるからです。
いつもはこうするのに、今日は違う、といった場合、その人に何らかの感情があるのかもしれません。悩みや心配のせいで普段と違う行動をとっているのかもしれません。相手がいつもと違っているな、と思ったら声をかけて気遣ってあげることもできます。
しかし、もし普段の基準がわかっていなければどうでしょう。相手がいつもと違う動作を示していても気に止めることもなく、言葉に出さない気持ちにも気がつかないままになってしまうかもしれません。
人にはそれぞれ特有の、気持ちを表すシグナルがあります。このシグナルに注目するためにも相手の基準となる行動、つまり「いつもはどうなのか」を理解しておく必要があるのです。
6.複数のシグナルにいつも注意する
非言語コミュニケーションを理解するには一つの仕草や表情だけでなく、複数のシグナルに注目したほうがよいでしょう。
理由は、仕草や表情の一つ一つはそれ一つだけでは相手の感情を把握できない場合があるからです。
複数の動作を見ることによって相手の立場、感情をより正確に理解することができます。
例えば、口角が下がってへの字になっている人は強いストレスを感じているそうです。
また、話をしながら首を触る人はストレスを癒やしていると言われます。
もし、話し相手が会話中に口をへの字にしその後に首を触っていれば、その人がストレスを感じていることだけでなく、不満があっても直接伝えるタイプではないのだなと予想できます。不平不満があって直接言えるような人物であればわざわざ首を触るなんてストレスを鎮める行動は取らないでしょうから。
相手の表情や仕草は単体で判断するのではなく、複数の組み合わせで判断しましょう。
7.相手の行動の変化を探す
相手が急激に行動を変えた時、思考・感情・関心・意図が変化したことを示していることがあります。
急激な行動の変化はその人の情報処理の方法や感情的な出来事への対処法を物語っているからです。
遊園地に連れて行ってもらえる!とワクワクしている子供を想像してみてください。きっといかにも「遊園地が楽しみ!」といった行動を取ることでしょう。ところが、もし遊園地がその日休園日だったら?おそらくがっかりした態度や表情をすることでしょう。
ワクワクした仕草→がっかりした態度というように急激に行動が変化しています。
心の中の「遊園地が楽しみ!」といった気持ちが「がっかり…」という気持ちへと変化したことが表情や仕草として体に反映されているのです。
相手の行動に変化があったとき。それはその人の心の中で何らかの気持ちの変化があったことを示すシグナルなのです。
8.紛らわしい非言語コミュニケーションを見抜く
正確に非言語コミュニケーションを理解するには練習と経験、注意深い観察だけでなく慎重な判断も必要です。
なぜなら非言語コミュニケーションの中には本物のシグナルと間違えそうな紛らわしいものがあるからです。
例えば顔。ときに人は本心とは正反対の表情をすることだってあります。本心では苦しくて辛いのに、表情は笑顔でい続ける人。このような人を相手にする場合、表情だけで本心を正しく読みとるには一筋縄ではいきません。
正しく相手を理解するには「この仕草をしたからこういう気持ちなんだ!」と安易に判断したりせずに、練習や経験を重ねた上で注意深い観察と慎重な判断によって解釈するほうがよいでしょう。
9.相手が快適なのか不快なのかを見分ける方法を知る
非言語コミュニケーションを解読するためには相手が快適か不快かを示す行動を正確に読み取る術を身に着けましょう。
相手が感じていることが快適か不快かを示すシグナルは、その人の心と体の真の意図を物語っているからです。
なぜこんなことをするんだろう?他人の行動を見てこのように思ったことはありませんか?
相手の行動の意味がよくわからない場合、その行動が快適さを表しているのか、不快さを表しているのかを考えてみてください。ほとんどの非言語コミュニケーションがこの「快適さ」「不快」に分けることが可能だそうです。
相手が不可解な行動をした、と思ったらその行動が快適さと不快さのどちらを示しているものなのかを自分自身で問いかけてみるといいでしょう。
10.相手の観察はさり気なくする
注意深く観察する、といっても相手から気づかれないようにさり気なく、を目指してください。
細かく観察しようとするあまり、相手をジロジロと見つめてしまったら失礼だからです。
練習を重ねて、表情や仕草から真意を読み取ろうとしているこちらの意図に気がつかれないように控えめに観察するようにしましょう
まとめ
今回は、表情や仕草といった非言語コミュニケーションを読み取るための10個のお約束ごとについて紹介しました。
仕事の進捗状況の報告、わからないことがあったときの相談、雑談など対人コミュニケーションにおいて非言語コミュニケーションは重要な役割を果たします。ただでさえ、表情を読み取るのが苦手な発達障害の人は非言語コミュニケーションのお約束/パターンを知っておくと、相手を理解しやすくなることでしょう。